ある晴れた日の昼下がり、事務所に一本の電話が鳴った。
40歳前後の女性からの浮気調査の問い合わせであった。少し話をしたものの、何か違和感を感じていた。そしてその日の夕方4時に面談することとなり来社して頂いた。
4時5分前にその女性は約束通り当事務所の扉を叩いた。
一見したところ、35歳くらいに見え、スラッとした細身で派手さはなく、若奥様といった印象である。
電話で少し話をしているので早速本題に入ったのであるが、相談者から
結婚していないと浮気調査は出来ないのですか?
と質問された。
こういったケースは過去にも何度か経験している。
もしかすると2号さんというか愛人という立場なのかな…
と思ったもののとぼけて
恋人関係でも浮気調査はありますから。それにたまに家庭のある人の浮気調査もいたしますよ
と答えると安心したのか
実は私、お妾というか愛人なのです。そして調査してほしい人は私の彼なのです。
いろいろと詳しく聞くと彼の年齢は60歳で会社を経営しており、東京都江戸川区に自宅があり、妻との2人暮らしで、近くには息子夫婦の家もあり孫も2人いるという。
既に彼との交際は15年になり、「じゃ、二十歳くらいからのおつきあいですか」と尋ねると相談者は42歳で27歳の時からの交際だという。とても42歳には見えない。
そして浮気調査を考えたきっかけを話し始めたのである。
彼は不動産会社を経営しているが昼夜を問わず、暇があると愛人である相談者宅のマンションにやってきた。
しかし、そのマンションに泊まることは殆どなく、あっても年に3日位で、後は出張旅行などに同伴するくらいであったという。
夕飯や買い物には頻繁に連れ出してくれてはいたものの、仕事はさせてもらえず、特別な贅沢はなかったが一般的に生活できる程度の生活費はもらっており「ただひたすら待つ身」という生活を続けている。
30歳から35歳くらいの時には彼の家庭のことや自分の将来のことも考え、何度も「別れなければ」と思い、何度となく話し合いをしたが、結局、彼の熱意というか愛情にほだされ、今に至っている。
しかし、ここ1年位前より訪ねてくることや夕飯や買い物に連れ出しくれることが極端に少なくなった。
1年前まではたまの日曜日や祭日に会えないことがあっても、殆ど毎日2回、昼夜に顔は会わせていたが、最近では3~4日に一度というペースでそれも昼間の短時間というケースが多くなったらしい。
健康面での理由か家庭で何かしらの問題が生じたのか尋ねてみたが、どうも別の愛人ができた可能性が高い。相談者はその事実を知りたく、浮気調査を依頼しようと考えたという。
料金の説明をすると少し驚かれたが、契約書に署名捺印して申し込みされた。
朝から深夜までの長時間になる可能性が高く、1日の料金は高いと感じるかもしれない。
ただ、2~3日間の短期間で結果が得られるだろう。
(その2へ続く)
投稿者プロフィール
- 探偵歴30年を超えるベテラン探偵。現在は主に依頼者の相談を担当。
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