3日目・女性と合流
対象者は土曜日は仕事休みだが、忘年会らしき飲み会に出席する為に依頼者の妻には「午後17時頃に出掛ける」と伝えていたため16時からの調査開始となっていた。
すると14時半過ぎくらいに依頼者から電話が入り、「主人はシャワーを浴びている。シャワーを浴びたら着替えてすぐに出るので急いでくれ」という。
私たちは通常指定開始時間の30分前には現場に到着するように教えられている。それでもぎりぎりかもしれない。急いで向かう。15時20分には到着したがまだ出てきていなかった。
16時少し過ぎにご主人が出てきた。ハーフコートにブレザー、スラックスというお洒落な服装である。
そのまま最寄りの三軒茶屋駅に入る。電車に乗り都心方面へ。
渋谷で下車。通勤とは違い、JR線には向かわない。
道玄坂方面に歩いていく。土曜日の夕方、人が多く出ている。途中、右に曲がり、東急百貨店本店に入った。
対象者はエレベーターには乗らず、1階を見て回る。このフロアーは女性の化粧品、服飾雑貨やブランド特選品関係の売り場がある。特に本人はブランド品売り場を見ている。
男性が一人でこのような売り場にはなかなかこない。多分、浮気相手へのプレゼントかと想像しつつ、付かず離れずに様子を伺う。
しかし、何も購入せずに20分程度でデパートより出て、渋谷駅の方に戻る。
途中、路地に入り、その横にある雑居ビルに入り2階へ行く。2階の一部が喫茶店になっており、隠れ家的な小さな喫茶店でその喫茶店に入る。
店内が見えない。誰と待ち合わせなのか気になるが店の外で張り込む。これは浮気調査なのだ。
ものの10分程度で喫茶店より出てきた。しかも20代後半もしくは30代前半くらいのほっそりとした清楚で地味な印象の女性と一緒である。
とても新宿や銀座のホステスという感じではない。
雑居ビルを出てからは並んで歩く事はなく、2~3mほどの距離を置いて女性が後からついていく感じである。
JR渋谷駅に2人とも入り、山手線内回りに乗った。
やっと肩を並べて吊革につかまり談笑している。
2人で五反田駅で下車する。改札を出ると再び2~3メートルの距離を置き、歩いている。
誰かに見られたのか噂になっているのか、周囲を警戒している様子は伺われるものの、尾行そのものを警戒しているわけではないようだ。
やはりこの女性が浮気相手の可能性が高い。
これから2人でレストランでも入って食事でもするのか、と思っていると対象者がコンビニに入る。続いて女性も同じコンビニに入る。
店内では2人で商品を選び、飲食物を購入、対象者が購入したものを持ち、コンビニより出る。
そしてまた距離を置き、歩き始める。
路地に入ると安心したのか、対象者が待っており、肩を並べ歩き出し、その先にあるラブホテルに入っていったのである。
やはりこの女性が浮気相手であった。しかも手慣れた様子から以前よりこの様な関係を続けているのが感じられた。
渋谷で会ってからラブホテルに入るまでの撮影は完璧だが、この依頼の条件である依頼者への報告がある。
電話を掛ける。「こちらに任せて欲しい」と再度お願いしてみるがどうしても現場にくるという。
しょうがないので、こちらで車を用意するから車で見ていて欲しいと伝えるとタクシーですぐに向かうとのこと。おとなしく見ていてくれるだろうかと不安を覚えつつ、依頼者の到着を待った。
投稿者プロフィール
- 探偵歴30年を超えるベテラン探偵。現在は主に依頼者の相談を担当。
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