姉妹の家出調査・その4

ショーダンス 探偵の記憶

再びスナックへ

姉妹の家出調査・その3
潜入金曜日の夜、姉が勤めていたとされるスナックに客として潜入する。姉が現在も勤務していれば楽なのだが。スナックに入るもなかなか一見の客が来る感じではない。どちらかというと小さいクラブといった雰囲気である。それでも堂々と「間違いない。この店だ

次の週の月曜日、金曜日に忘れ物をしたか確かめる口実で姉が勤めていたスナックに向かう。

敢えて土曜日は回避した。それと金曜日に席についてくれた女の子は月曜日は休みだと言っていた。好都合である。

夜8時過ぎに入るとまだ客は誰もおらず、金曜日にいて言葉は交わしたが席には着かなかった女の子2人とママがいた。

ママは愛想良く席に着き、女の子2人も来る。

ボトルが入っているのでセットしてもらい、乾杯。何気なく、来るつもりではなかったのだけれど金曜日、ボールペン忘れてなかった?と聞く。調べてくれたが無かったとママが答える。

「金曜日に付いてくれた○○ちゃんはまだ出勤前?」

「今日はお休み。あの子は水曜日から土曜日だから」

そんな会話をしていてから本題へと進む。

「思い出したんだ。かなり以前に来た時に付いてくれた女の子。岡山出身の確かエリカちゃん。もう辞めたの?」と。

金曜日に来ているので不審がる事もなく、「辞めたのよ」と教えてくれた。そしていろいろと話をしてくれた。

不倫関係における男女間のいざこざがあったとは絶対に言わなかったが、ダンスに夢中になり、ダンス教室に通い始めた事を理由に辞めてしまったという。

その後、別のスナックに変わったものの、短期間で辞めて、今では新宿のあるショークラブにダンサー兼ホステスとして勤務している。お客さんと2度ほどこのスナックにも来てくれた事があり、一度、このママもお客と一緒に見に行ったそうだ。

重要証言である。すぐにでもそのショークラブの店名と住所を聞きたかったが敢えて聞かず、「ショークラブって何?行った事がない。飲み代は高いの?」ととぼけて聞く。

1日に2回ショータイムがあり、舞台でけっこう本格的なダンスパフォーマンスをする。お気に入りの女の子のショーを見て、その女の子が接客するというシステム。料金もそこそこ、気に入った女の子には花束を渡したりする慣習もあり、結構お金がかかるようである。

そんな話をしていると常連らしき男性客3人が入ってきた。立ち上がるママに向かってすかさず、店名を聞く。「クラブ○○○よ。いらっしゃいませ」と常連客に向かう。

店名が判った。大収穫である。店の名前と新宿にある事さえ判れば詳しい住所など関係ない。まだまだ聞きたい事はあったが残って席に着いている女の子と別な話に花を咲かせ、1時間ほどで退席する。

店を出るときにママがやってきて「ありがとうございました。またお待ちしております。で、エリカちゃんのお店に行ってあげるの?」

「ダンスには余り興味がないし、行ってもエリカちゃんを判らないかも。」

「じゃ、早い時間、私が一緒に行ってあげる。一緒に行ってその後、ここに戻ろう」

いわゆる同伴である。なかなかの商売人である。でも一緒には行けない。姉と会うと嘘がばれる恐れがある。

「いや、高そうだから行かないと思うよ。その分、ここに来るよ。」と言いながらも「そのクラブではエリカちゃんではないよね。」と聞く。

「こいつは1人で行くな・・・」とママは思っただろうがこちらは一応お客である。

「そのクラブではサキちゃんよ。もし行ったら私から聞いたと伝えてね。今夜はありがとう。また今週末でも待ってます」と別れる。今夜は大収穫であった。

ショークラブで張り込み

さっそく昨夜の情報を基に電話帳にてショークラブの住所を簡単に特定する。

そして夕方17時から張り込みを開始するが、ソシアルビル地下1階にある店なので階段とエレベーターの見える位置にて張り込む。

既に開店準備をしているのかクラブの扉は開いており、けっこうな音量で音楽も聞こえている。20時になっても女の子の出勤が少なく3人くらいである。

・・・どこかで見落としているのか?と疑心暗鬼になる。

21時になってしまったが、お客らしき男性と同伴の女の子が3人入っただけである。見ている限り対象者である姉は認められなかった。スナックのママの話では女の子は20人はいると言っていた。

しょうがなく、一旦、張り込みを中断する。そしてクラブに電話する。

「今日、サキちゃん出てる?」

「出勤してます。何時頃ご来店ですか」との答えに適当に応対して切った。姉は出勤している。見落としているのか。

夜23時から再度、張り込みを再開する。深夜0時前から女の子達が順次出てきた。電車で帰宅する女の子もいるのだろう。それともお客さんとアフターか、別の店に出勤するのか、それぞれ出て行く。

姉の印象、体格と似ている子も何人かいたがどうしても母親から預かった写真とは違う。但し、女性は髪型、化粧などによって別人と化す。特に水商売をしているホステスは顕著だ。

結果、午前2時過ぎまで見て21人の女の子が出てきたものの、残念ながら姉との特定はできなかった。

やはりこのクラブにも潜入するしかない、と思いつつ今夜の調査を打ち切ったが足が重い。

姉妹の家出調査・その5
ショークラブに潜入・姉の確認水曜日の夜8時半、ショークラブの潜入を考え、近くで待機、再び店に電話をする。すると姉の源氏名である「サキちゃん」は出勤しているという。9時過ぎに2人でショークラブに潜入する。「初めてなんですが」と言って簡単に潜入

投稿者プロフィール

totoro
totoro
探偵歴30年を超えるベテラン探偵。現在は主に依頼者の相談を担当。

コメント