新妻の浮気・その5(完)

浮気妻 探偵の記憶

第6日目

https://argus-research.org/blog/uwaki_tsuma4

妻が生理になったため、第6日目の調査は9日後の水曜日となった。

9時半過ぎに依頼者宅前に到着、張り込みを始めるが、自転車を積んできた車とバイクを用意してある。何しろ前回、訪ねてきた男性は車で来ている。

盗聴器を作動。テレビの音の間に乳児の声も鮮明に聞こえる。説明通りに上手く設置してくれた様である。レコーダーと接続し準備万端である。

ところが男性も来ないし外出する気配がない。

一度、電話で女友達らしき人物とたわいもない会話(室内盗聴なので妻の声しか聞こえてこないのだが)をしていたのが確認されている。

又、昼過ぎに一度、周辺のコインパーキングを捜索するも前回訪問した男性車両は認められなかった。

14時過ぎに妻がやっと出てきた。ベビーカーに子供を乗せて歩いて行く。

前回も立ち寄った公園に入り、ベンチで日光浴をさせながら雑誌を読んでいる。ものの30分くらいで公園より移動、コンビニに少し寄っただけで15時には帰宅した。

16時、もう夕食の用意をし始めたのか、まな板を叩く音が聞こえる。その音を聞きながら今日の調査を打ち切った。

今日を見ていても育児や家事にと頑張っている様に見受けられる。

本当に訪ねてきた男性が浮気相手なのか?

疑問解決は明日の調査に期待するしかない。

 

第7日目・再び男性現る

第7日目は木曜日、先々週の木曜日には男性が訪ねてきている。

前日同様に10時前には依頼者宅前に到着、準備を整え、張り込みを始める。

すると11時半過ぎに前回訪ねてきた男性が手ぶらで訪ねてきた。

新妻が招き入れる。さっそく盗聴器からの音声に聞き耳を立てる。

「久しぶり、会いたかったよ」と男が言う。

新妻も「私も会いたかった」と答える。

少しの沈黙の後、乳児にミルクをあげるからと準備を始める。

その後、男性が子供をあやしていたり、くだらない会話が続く。しばらくすると乳児はお腹一杯になって寝てしまったのか声がしなくなる。新妻が昼食を作り、2人で食事をする。

13時を過ぎ、なんとなく2人に怪しい雰囲気が感じられる。

しばらくすると、明らかに性行為をしている様子が聞こえ始めた。

まさに「リアルな浮気現場」だ。

14時頃にその行為を終え、浴室へ移動している音まで聞こえる。

そして浴室から出た2人は楽しそうに談笑している。会話では依頼者であるご主人を責めるような悪口も含まれていた。

16時少し前、また連絡する旨を告げ、男が1人で部屋から出てきた。

男が歩いて行く。バイクを移動させつつ尾行する。前回とは違う少し離れたコインパーキングに入った。

車での追跡班にも連絡、パーキングを出た男性車両をバイクと車で尾行する。

30分程走ったであろうか、小平市内の月極駐車場に車を止め、近くの2階建て一軒家に入った。その家には家人が使用しているのだろう、もう1台の別の車が停められていた。

表札を確認ししばらく張り込む。男の自宅とは限らないからだ。そして18時前に男は妻らしき女性と中学生らしき女の子の3人で出てきて家に駐車してあった車に乗り込む。

車は近くのファミリーレストランに入った。家族である様子が伺われ、男の自宅を確認した事から今日の調査を打ち切った。

浮気の事実をとらえ、証拠もばっちり、浮気相手の男性の家まで突き止められた。

今日の調査は大成功であるが、依頼者は複雑な心境になるだろう。

新婚まもない妻の浮気が現実であった事は。

 

男性の身元を調査

浮気相手の男性について身元調査に移行する事を依頼者と取り決め、実施する。

内偵した結果、男性の名前、職業、勤務先などが判明、なんと新妻の自宅最寄り駅にある大手スーパーに勤めていた人物で調査期間にも確か買い物に行っている。

本当にそのスーパーで知り合ったとなると、相手男性と知り合ったのは婚姻後になる。

依頼者と新妻は結婚して現住所を新居としたと聞いている。あくまでも憶測であり、断定は出来ないが。

調査報告書内にその身元調査の内容を付記した。

また、盗聴器により録音した依頼者宅での生々しい不貞現場の音声も、原本であるICチップとそのデータを取り入れたCDをコピーとして作成した。

 

調査終了、報告

数日後、依頼者と会う。

貸しておいた盗聴器を返してもらい報告書を手渡す。

既に相手男性の写真は見ているからか、報告書は簡単に目を通し、録音に聞き耳を立てる。

しばらくすると顔を真っ赤にして怒りに震えている。そして今度は涙を溜めながら青白い顔で呆然としている。

何分経ったのだろう。依頼人と会ってから既に2時間は過ぎている。

確かに結婚して1年経っていないし、子供も出来て半年の新婚であるからそのショックの大きさも半端では無いと思う。

依頼者の様子からこちらからもなかなか話を切り出せない。

やっと依頼者が口を開いた。

「すみません。長時間つきあってもらって。子供は引き取り離婚します。明日、両親にも全てを話し、知り合いの弁護士とも相談します。」と。

調査料金を精算してもらった。帰り際、一応、奥さんにはまだ話さない方が良いと伝えた。

浮気の証拠として万全だと思うが、時として弁護士から追加の調査の指示がある事もあるからだ。頭を下げ、先に依頼者が喫茶店を出ていった。

万全の調査をしたがなんとも後味の悪い調査となった。

浮気にショックを受けている依頼人は証拠が取れても笑顔にはならない。いや、なれないのだろう。

投稿者プロフィール

totoro
totoro
探偵歴30年を超えるベテラン探偵。現在は主に依頼者の相談を担当。

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