妻の携帯メール
依頼者は2日間の調査結果で安心するかと思いきや、普段なかなか見られない妻の携帯電話のメールを見たところ、やはり男性と会っているようだという。
通常、妻は依頼者が帰宅する前に子供と風呂を済ませているが、昨日は外出していた事もあってまだ入っていなかった。
妻が風呂に入った隙に携帯メールを確認、先週は水曜日に会っていたらしい。
会って打ち合わせをしたいという。それでは今晩9時に再度会って打ち合わせをするという事で電話を切る。
夜9時に前回会った高田馬場のルノアールで再会し打ち合わせを始める。
妻の携帯電話には「鈴」がついており、寝ていてもなかなか触ることはできないようだ。
昨夜、風呂に入った時に確認したメールには先週の水曜日の昼間に会っていた内容があり、そのメールだけは自分の携帯に転送しておいたという。
内容を見せてもらうと「今日はありがとう。会えて嬉しかった」とハートマークが3つ付いていた。
見るからに怪しい。何時頃に会ったのかは全く不明であったが送信した時間は17時10分であった。
依頼者は朝8時少し前に出勤、だいたい21時半から22時半頃に帰宅している。
依頼者が言うには、妻はまず朝10時前に外出する事は無く、メールの内容によると17時以前には別れているだろうから16時以前には会っていたと思うという事であった。
しかし、いつ会うかは全く判らないので10時から16時までの調査を続けてみるしかないと説明する。とりあえず明日10時からの調査となった。
依頼者は若いサラリーマンである。それほど予算があるとは思えない。
依頼者の気持ちを思うと、その男性とすぐにでも浮気して欲しいのだが、と不謹慎にも思いつつ依頼者と別れる。
第3日目
第3日目、火曜日の9時半には依頼者宅前に到着、妻が使用する自転車も確認、在宅している様子で張り込みを開始する。
妻は13時を過ぎた時に乳児を乳母車に入れ、自宅より出てきた。
そして近くの公園へと行く。30分ほど子供と日光浴をした後、公園を出て、近くのスーパーに立ち寄り、食材等を購入して15時前には帰宅した。
もしかすると相手男性が自宅に訪ねてくるかもしれない。まさかとは思うが注意深く張り込む。
指示された終了時間の16時になったが、サービスとして17時まで張り込みを続けるも妻は出てこないし、誰も訪ねてこないのでこの日の調査を打ち切った。
若い依頼者の気持ちを考えると早く結果を出してあげたいのだが、もしかすると長期戦になる事も考えられ、胸が痛む。
とりあえず、明日は水曜日。先週の水曜日には男と会っていたという。過去の経験でも浮気相手の都合により特定の日に会っている可能性は高い。
第4日目
第4日目の水曜日。
9時半過ぎには依頼者宅前に到着、自転車を確認して張り込みを開始する。
先週の水曜日には浮気相手と思われる男性と会っていたのは間違いない。仕事の関係で水曜日が定休である可能性もあり、それで会えたのかもしれない。
すると相手男性の職業は不動産関係か百貨店関係か?などと考えながらも張り込みを続ける。
しかし、天候も曇であるからか、12時、13時、14時と時間は過ぎるが妻は出てこない。男性も訪ねてこない。
15時半前に乳児を抱っこひもで前に抱きかかえ、妻がやっと出てきた。自転車に乗り、走り出る。子供を庇うかのようにゆっくりと走っている。
最寄り駅近くの大手チェーン薬局に行き、ベビー用品などを購入、その後、近くの大手スーパーにも寄り、食材などを購入、何の事はない16時半には帰宅した為に調査を終了する。
今日は会わなかった。男へのハートマークの付いた送信メールやその他の送受信メールが無ければ結婚して1年、子供を出産して半年の新妻が浮気しているとは到底信じ難いのであるが、過去においても信じ難いケースを幾度となく経験してはいる。
依頼者を信じなくてどうする。調査は依頼者を信じる事から始まり、信頼で終わるのである。
投稿者プロフィール
- 探偵歴30年を超えるベテラン探偵。現在は主に依頼者の相談を担当。
最新の投稿
- 探偵の記憶2021年2月2日愛人からの浮気調査依頼・その6(完)
- 探偵の記憶2021年2月1日愛人からの浮気調査依頼・その5
- 探偵の記憶2020年9月4日愛人からの浮気調査依頼・その4
- 探偵の記憶2020年8月19日愛人からの浮気調査依頼・その3
コメント