夫は埼玉県浦和市(現在のさいたま市)で育ち、同所に実家もあり、父親は従業員100人ほどを抱える建材会社を経営しており、母親も専業主婦の傍らジムなどをして会社を手伝っている。夫は長男で下に弟がいる。
夫は大学を卒業後、大手建材メーカーに勤めており、いずれ父親の会社を後継するような話であった。弟は化学系の大学を卒業後、留学している。この様な家庭環境であったが残業も多く、土日は実家に帰っているという。
当時、携帯電話がやっと安価で手に入り、一般会社員も所持できる時代となっていた。平日の残業が多く、土日も実家に戻っているという状況から「浮気」とも疑ったが、携帯電話で頻繁に連絡は取れており、その懸念は全く無いという。
それでは、ということで通常の結婚調査と同様に本人並びに両親、兄弟を含めた身上並びに身元調査を、いわゆる「結婚後調査」を開始した。
結婚後調査を進めていく内にさまざまな事が判明してきた。夫については経歴に詐称は無く、人柄も良好で素行面での非行性も全く感じられず、むしろ良好な人物像が伺われた。
両親においても父親は高校を卒業後、それまでの斯業経験を基に昭和45年頃に独立、その後、現在の建材会社を起業、高度成長下の状況にも上手く乗り、順調に業績を上げていた人物で真面目で努力家と評されていた。
母親は2人の男の子を育てながら父親の仕事を支え、経理事務全般にも従事、面倒見のよい人柄からか従業員にも慕われており、近所とも円満に交流、母親も特に懸念する風評は得られなかった。
ところが平成3年に起こったバブル崩壊後、業績は悪化した模様で、従業員が昼食を取りに行く近所の飲食店などからはかなり経営が厳しい状況が伺われ、退職した従業員も多数いることを聞き込んだ。
父親の経営する会社の信用調査まで範囲を広げで調査した結果、依頼者が聞いていた従業員100名も既に半数以下となっている状況である事が判明、登記関係も精査したところ、会社事務所や工場、実家の土地建物も複数の抵当権が設定されており、経営状況はかなり逼迫している事は伺い知れ、更に深く調べてみた。
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- 探偵歴30年を超えるベテラン探偵。現在は主に依頼者の相談を担当。
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