新妻の浮気・その１

ある昼下がり、１本の電話が鳴った。

声からすると２０歳代後半の若い男性である。切羽詰まった感じで、妻が浮気をしているらしく至急調査して欲しいとのこと。

事務所に来社して貰えるかと聞くと、仕事の都合で遅くなるので乗換駅である高田馬場駅近くで会えないかという。

夜９時にビックボックスの交番前で待ち合わせをする。

依頼人は９時５分前には来た。スーツ姿の若いサラリーマンである。

近くの喫茶店「ルノアール」に向かう。最近、スターバックスやタリーズなどのカフェが増え、隣席と近くなく、ゆっくりと話の出来る喫茶店が減少し、困っている。

ちなみにルノアールは昔からゆっくり話も出来て、美味しいとは言えないまでもコーヒー代も高過ぎず、けっこう相談などに利用している。

ルノアールに入ると、挨拶も簡単に奥様の浮気の疑念について話を聞く。

すると妻がこそこそと携帯メールをしていたりと不審な行動が目につき、思い切って携帯電話を確認すると全ては見れていないが見知らぬ男性とのメールのやりとりがあり、内容も隠れて会っていた様子があったという。

ただ、妻とは結婚してまだ１年も経っておらず、更に５ヶ月前には長女も授かっている２７歳の専業主婦である。

（新婚で子供を授かったばかりの新妻が浮気か？普通はないよな・・・）

夫の思い込みかもしれないと半信半疑で聞いていた。

依頼人である夫も浮気については半信半疑なのであろうが、メールの一部から親しい感じは読み取れたという。

しかし夫の知らない男性とメールのやりとりをしていたり、ただ会っていたのだけでは浮気と決めつけられない。

携帯メールを勝手に見たと言えば夫婦関係もぎくしゃくする。会った男性について問い詰めても正直に答えるとは限らない。そこで探偵に頼もうと思ったとの事であった。

賢明である。何しろ妻は乳児を抱えた専業主婦である。それで月に３～４日、夫に育児を任せ、友人と会ったり、買い物を楽しんだりと育児から解放されて数時間外出するだけらしい。

その時を調査して欲しいという。

料金を説明し納得してもらい、契約を交わす。

今度の土曜日に女友達と会う約束をして外出する予定というので、朝１０時から調査をする事となった。

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